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       もはや資本主義でさえない  

 

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「世界中を駆けめぐっている巨額なドルと円(一日 一兆数千億ドル)の

実に98%が株式市場での投機に費やされ、実際の生産とサービスのために

用いられているのはわずか2%にすぎない」

(「いのち・開発・NGO」新評論より)

 

 

「今日富裕で浪費しすぎる少数の人々と、南の大多数の人々及び北側でも

増加している貧しい人々との間に、人類史上最も危険な格差が生じた」

(同)

 

「GDP世界一の一番豊かな国アメリカは、同時に国民の所得格差が世界一

大きい国である」

(ガルブレイス教授、ハーバード大学)

 

 

 

 

4月、日本外交と国際情勢をまとめた二○○○年版「外交青書」

の内容が明らかになった。

 

昨年11月30日の米シアトルでの世界貿易機関(WTO)

閣僚会議における非政府組織(NGO)の行動を挙げ、

市民社会が国際的な諸課題で果たす役割を強調、

「政府と市民社会との建設的なパートナーシップ構築」の必要性を打ち出した。

 

また、国際情勢の特徴的な動きとして、グローバリゼーション(

市場経済の世界的広がり)の「影」の問題に触れ、世界規模の競争から取り残され

つつある国や、各国内で生まれている社会的な弱者に対し、

国際社会が協力して支援、対応していくことが必要、と訴えている。

 

 

WTOは昨年12月に、アメリカ・シアトルで、第3回閣僚会議を開催し、

日本からも外務大臣、通産大臣、農林水産大臣の3名の閣僚が参加した。

 

ご記憶にあるだろうか?

 

WTOは、国際貿易を専門とする国際機関で、私たちの毎日の生活とは、

縁遠い存在だとも思われるかもしれないが、実は、様々なところで関係している。

 

「貿易自由化による自由市場の実現によって、食料生産の国際分業と、

それによる効率的な資源の再配分が行われる。」

 

この比較優位論によって正当化されているWTO農業協定が、

アメリカと欧州連合(EU)の膨大な輸出補助金による食料のダンピング輸出

を温存し、多くの途上国を食料不安に陥れている。

 

世界をアメリカの輸出食料に依存させようとの隠された意図によって

進められる食料援助と貿易協定が食料価格を下落させ、世界の小規模農家を

破滅に追い込んでいる。

 

その一方でアグリビジネスは肥え太り、各国の食料自給を崩壊させ、

地球環境を破壊し続けることになった。

 

真の食料安全保障が実現できていない現在の世界の「構造」を解きあかしたい。

 

何がどう変わることが、地球規模の飢餓や飢饉、旱魃、砂漠化の進行への対処

となるのかを考えることは、食料輸入大国である日本に住む私たちに多くのこと

を示唆する。

 

お金さえあればいつでもどこからでもバラエティに富んだ食料を買うことができる

とする考え方こそが、実際にはわたしたちの食料安全保障を脅かし、

世界の環境と人々の平和なくらしを破滅に導いていることを指摘しておきたい。

 

昨年11月30日、WTO第3回閣僚会議が開かれたシアトルでは、

世界各地から集まった7万人の市民が平和的なデモや抗議行動を繰り広げた。

 

ほとんどの市民が非暴力的なお祭りデモを行う中、一部の暴徒に過剰反応した警察当局

は、会議の期間中、催涙ガスとゴム弾を乱発し、シアトル市街は「戦場」さながらの様相を

呈した。

 

この会議は結局、WTO加盟135カ国間の深刻な利害対立と、時間切れによって決裂

した。

 

そして今年4月半ば、G7蔵相会議およびIMF(国際通貨基金)・

世界銀行総会の行われたワシントンD.C.もまた、1万人もの抗議者によって包囲さ

れた。

 

アメリカのある環境NGOは、次の標的は「沖縄サミット」だと予言する。

 

このような一連の動きは、ここ数年、いわゆる冷戦後の世界経済秩序をになってきた

国際金融機関に対する市民・NGOの批判が大きくなってきていることを象徴している。

 

市民やNGOが主張するWTOの問題点とは何なのか。

それぞれの国、テーマで今の経済のグローバリゼーションに対する批判勢力をリード

してきたゲストを迎え、私たちの生活や地球環境、そして途上国の人々に(実は)

多大な影響を与えているWTO体制の問題点について徹底的に検証する。

 

 

 

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