木曽路に「生活道路」を取り戻そう!

信州の山の村に、家族5人で暮らしながら村の医療にとりくんでいる。

田中康夫知事(当時)の指名で、この間、長野県地方道路懇談会委員として、
県庁土木部の(ダム行政ではない)道路行政について意見を求められた。

広い県内だが、各地各様の道路状況、交通事情をそれなりに把握してみると、
「木曽高速」問題に突き当たった。

木曽路は山の中である。
ここを貫く道路は、ほぼ100キロにわたり国道19号線一本だけだ。
一度事故が発生すれば救急車はもちろん、消防車も走れない。

通過する県外ナンバーの大型トラックが、異様に多いことで有名である。
「北九州」「熊本」「京都」「尾張小牧」「栃木」「土浦」「新潟」「秋田」・・・
道路管理者である国土交通省飯田国道工事事務所によると、
本来の交通容量1万1千台のところに毎日約1万8千台が通過し、
半数が大型車という実態である。(木曽福島地籍での調査)

それは、信号機が少なく、高速で、
東隣の伊那谷を通る中央高速道とほとんど時間差なく突っ走れることにあるようだ。
直線で、思わず眠気をさそう「魔の区間」がいくつかあって恐れられている。

大型車の繰り替えされる積載重量でできた国道の「わだち」が凍結し、冬のスリップ事
故は恐ろしい。
過積載のトレーラーが横転すると、見るも無残な状態になる。
トンネル内で身動きできなくなる、、、挟まれて逃げられなくなる、、、
黄信号であっても後続車と一緒に急に停まれず心ならず突っ切ってしまう、などの体験
は日常茶飯事だ。

夜の19号は、大型ディーゼル車が列なり、轟音と地響き、
排ガスをまき散らしながら走り続ける、さながら「産業道路」である。
待望のバイパス道路の完成で、むしろ荷台を連結した大型トレーラーが増加したという

今年は既に4件の死亡事故が発生し、6人が犠牲になっている。(県警交通部による)
事故による、19号の2時間以上の交通止めは、平均して一週間に一度の頻度で起きて
いる。
(地元首長による)

家族で買い物に出かける人も、まるで戦場へ向かう兵士のようだ。
「巨大な対向車が黄色のセンターラインを越えてきませんように」
「後ろの車が赤信号でちゃんと止まりますように」
「無事に帰宅できますように」

木曽の住民は口をそろえて言う。
「大型トラックさえ少なくなれば、安心して車で出かけられるのに」
「交通事故が減るのに」
「渋滞していると、大事故はないのでむしろいい」
「・・・も死なずにすんだのに」
「交通止めの時に、火事があると本当に慌てる」
「空気がきれいな木曽になるのに」
「静かな街や村になるのに」

大型トラックの運転手たちも言う。
「木曽の狭い道路を走りたくない」
「事故に巻き込まれたくない」
「渋滞で何時間も足止めされたくない」
「高速料金が高いため、乗りたくても乗れないんだ」

高速道路は、車専用の自動車道であり、道路も重量車輌に充分対応できる構造となって
いて、
幅員も広く、ハンドル操作も楽で、スムーズに目的地へ行くに際し
ドライバーの疲労も少ないはずで、皆、本当は高速道路を走って行きたいのだろう。

そんな自動車道路を自由に通ることができない理由が「高い高速料金」だとすると、
ことは政治の問題と考える必要があろうか。

平成12年の春、岐阜県との県境、山口村でがけ崩れがあり、
何週間か交通規制がなされて大型トラックがほとんど通らないときがあった。
そこには静かで平和な木曽路があったという。

長野県庁では、現在「木曽右岸道路建設」に全力投入しているが、
今のペースだと、木曽福島と南木曽の間でも、後18年余、金額にして550億円はか
かると試算される。
しかも、これが完成してもまだ木曽路の半分でしかない。

日本道路公団(JH)の「民営化」議論が盛んだ。
しかしその是非とはまったく別に、「地方」「夜間」の高速道路料金の弾力化はなされ
るべきであろう。

民間感覚で言えば、夜間ホテルで空室があれば損金なのであり、
夜間高速ががら空きであれば、料金誘導すべきなのだ。

木曽路を通過するトラックから、通行税(環境税?)を取ることができないのだとすれ
ば、
木曽路を「普通の道」に戻すために、伊那谷の中央高速の夜間半額化を是非実現してい
ただきたい。

トラック運転手へのアンケート調査によれば、「中央道の料金が安くなれば利用する」
と答える者が多く、半額になれば利用すると答えたものが5割あった。

ちなみに中央道の中津川ICから塩尻ICまで(95.3km)の高速料金は、
普通車3400円、大型(8t超)5600円、特大(トレーラー)9300円となっ
ている。

県選出の国会議員にも協力を要請し、
長野県の声をひとつにまとめることが大切なのではないだろうか?



とここまで書いて、東京・霞ヶ関の国交省を内偵したところ、以下のような情報を得た

・・・
デフレ経済下で、19号線と同様のケースが全国の高速道に並行した国道で起きていて
、JHもそれを十分に承知している。

民営化が進めば状況は変わってくるだろうが、今のJHの経営体質からして、
夜間高速料金の弾力化は、例えば地元自治体の料金負担等がないと、極めて難しいだろ
う。

むしろ、長野県下の国道19号線を「夜間トラック通行止め」にする方が現実的かもし
れない。

陳情・要請の場合は、文書をJH総裁宛てに提出した上で、
担当理事に面会することになるのではないか。

あるいは旧来型の手法になるが、地元国会議員の紹介で国交副大臣に会い、
その際に、JHの担当理事なりが同席するよう副大臣にアレンジしてもらう手もあるだ
ろう。
・・・


とのこと、まずは、以前文書でやり取りしたことのある長野県警・交通部長と面談しな
いと
らちが明かないのかもしれない、と考えた。

なんとも”縦割り行政”で難しいが、諸外国ではどうなのだろうか、、、?


・・・以下、転載歓迎・・・

「よくなるドイツ・悪くなる日本」(地湧社)の著者、関口博之さんにお目にかかった

「暮らしと環境」「政治と社会」(各1500円+税)の二冊が今年春相次いで出版さ
れている

”ドイツモデル”もいうべき「開かれた新生ドイツ社会」の
景観・住宅・公共事業・農林業・再生エネルギー・リサイクル・
福祉・教育・ワークシェア・税制・財政・防衛・行政訴訟、、、と、
広い分野にわたる具体的な政策対案の提言集である

関口さんは新潟県・妙高高原町在住だが、知事選後の
2002年10月14日(体育の日)午後、
松本市で、関口さんをお招きした講演会を計画中である

当日は新生ドイツ連邦の交通政策についてお聞きしたいと考えている

ヤッシーがスウェーデンモデルなら、
県民はドイツモデルで理論武装しようというわけだ

政局はともかく、政策は粛々と進めるべきだろう


===

以下、長野県知事選「公約」案 、Dが国際保健医療分野です  いろひら拝

@日本一の環境産業育成宣言

長野県の精密機械などの基盤を支援していけば、リサイクル産業、
コジェネなどの節電産業、植物化学産業など、環境産業を日本一にすることも可能、
それは中小企業を再生し、雇用も増大させる

(環境規制によるドイツ、フィンランド、デンマークの成功例も参考になる)


A自然環境再生宣言

コンクリートによる公共投資の代わりに、村民などの労力(雇用)による自然工法で川な
どを再生し、
日本一の美しい自然景観の県を目標に掲げるべき、
それは生態系を豊かにするだけでなく、村民を豊かにするしくみでもある


B環境農業支援宣言

環境に配慮した安全な農作物提供という市民利益を追求することは、
長野県の農作物をアピールするだけでなく、大きなメリットがある


C快適な市街地創出による活性化宣言

商店街の空洞化に対して、市民の快適で便利な住みよい町にすることを最優先して、
空店舗などには市民利益を求めるワークショップやNPOなどの店づくりを支援して、
商店街の活性化を掲げたらよい

(段階的にパークアンドライド方式で、商店街は公共交通以外の車は規制するのがよい)


D外国人医師による当該国人患者の診察合法化

秋の臨時国会に政府が提出する特別法にそった「構造改革特区」として、
長野県として、外国人医師による当該国人患者の診察
(保険診療という意味でない自費診察)を違法としない取り組みを申請する

(構造改革特区は小泉政権の経済活性化策の目玉、地域で成功すれば全国に広げて、
「地方発の構造改革」を目指すという、申請主体は地方公共団体)




とここまで書いたら、「官庁速報」が二つ飛び込んできた 、動きは早いようだ


高速道割引、地元提案で実施へ=5〜3割安に―社会実験で03年度から・国交省

国土交通省は、地元自治体の提案に基づき、高速道路や都市高速など有料道路の通
行料を値下げする新たな制度を、2003年度に創設する方向で検討に入った。通行
料が割高で利用が少ない地方の高速道の稼働率を高めたり、一般道を走る車を高速道
に誘導し、周辺地域の騒音被害や渋滞の解消につなげたりするのが狙い。引き下げに
よる減収分は国と地元自治体が費用を分担し、国は道路特定財源を投入する方向で、
5―3割程度安くする案が有力だ。同年度予算概算要求に関連経費を盛り込む。 日
本道路公団など道路4公団の民営化論議に配慮し、時代を先取りする事業の効果や問
題点を探る「社会実験」として試行的に実施する。具体的な適用路線は、今秋以降に
地元から募集し、割引幅や実施する時間帯などの詳細な枠組みを年末の予算編成まで
に詰める。 トラックなどは、世界一といわれる通行料の高さを理由に高速道の利用
を敬遠し、住宅が密集する一般道を通行。それが渋滞や振動、騒音、大気汚染、交通
事故など住民生活を脅かす原因にもなっている。地方路線では交通量の伸びが低迷
し、「夜間などはほとんど車が走らず、無駄」との批判も招いている。 国交省の社
会資本整備審議会・道路分科会が8月2日に出した中間答申も、高速道を有効に活用
するため、全国一律の料金体系を見直し、交通量が少ない地方の料金値下げや渋滞緩
和につながる時間帯別料金の設定など、多様で弾力的な料金政策の導入を打ち出し
た。(2002年8月16日)


高速道割引、地元提案で実施へ 

新たな割引は、地元自治体からの提案を受けて実施。これにより(1)利用者アップ
(2)環境面や交通安全上の問題がある一般道からの車のルート転換(3)観光振興や地域
活性化―など、地域の実情に応じた目的を実現する創意工夫あふれる取り組みを促
す。 高速道の通行料割引は、既に地元の提案を受けて秋田自動車道(秋田南〜昭和
男鹿半島間25.7キロ)と山形自動車道(湯殿山〜酒田みなと間53.1キロ)の
2路線の一部区間で実施している。渋滞解消や利用増などを目的に10枚単位で回数
券を販売し、利用者は3割引きで利用できる仕組みで、道路公団と地元が引き下げ分
を折半している。 一般有料道路の東京湾横断道路(アクアライン)でも、日本道路
公団と千葉県などが今年7月からノンストップ料金収受システム(ETC)利用者限
定の通行料値下げ実験に取り組んでいる。(2002年8月16日)


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