トランプ政権閣僚(またはその有力候補)の顔ぶれ


_副大統領: マイク・ペンス
インディアナ州知事。
過激なキリスト教至上主義の極右思想を持ち、女性、ゲイ、移民の
権利抑圧政策で名を馳せている。
傭兵企業ブラックウォーター創設者エリック・プリンスが
最大の選挙資金を提供している。
気候変動については過去に理性的理解を示していた時期もある。
トランプが大統領の伝統的な職務に興味がなく、
実務は保守強硬派のペンスに全面的に任せることが予想されているため、
トランプよりも危険視されている。

_国務省長官: レックス・ティラーソン
エクソン・モービルのCEO。
エクソンは気候変動に関する科学的検証を抑圧・隠蔽してきたため、
環境保護団体が複数の訴訟を起こしている。
パナマ文書(租税回避の実態を暴く記録)の審査で、バハマに拠点を
置くロシア・米国のオイル会社の幹部であることが暴露された
(ほぼ確定。デイビッド・ペトレイアス、ミット・ロムニー、
ダナ・ローラバッカー、ジョン・ハンツマン[DCシンクタンク
「アトランティックカウンシル」会長]など複数推薦)。

_財務省長官: スティーブン・ムニューチン
元GSグループ幹部。(GS:ゴールドマン・サックス)
住宅ローン融資銀行の運営で三万六〇〇〇世帯から住居を奪い
「差押えマシン」として名を馳せた。
たった二七セントの負債を理由に九〇歳の老女をフロリダ州の
住居から追い出したことで有名。

_国防省長官: ジェイムズ・マティス退役大将
イラク戦争のファルージャ攻撃や、アブグレイブ収容所での拷問虐待
の指導などで見せた残虐性から「狂犬」と呼ばれている。
文民統制の決まりで、国防省長官は退役後七年以上経っている人物
である必要があるため、二〇一三年に引退してから間もないマティス
が議会の承認を得ることは難しいとされている。

_司法省長官: ジェフ・セッションズ
アラバマ州上院議員。
元検察官。
KKK擁護など人種差別発言も多く、反移民的政策を支持し、
米国内で生まれた者はすべて米国市民であるとする憲法修正一四条
の廃止を求めている。
投票権法にも強く反対してきた。

_内務省長官: ライアン・ジンク
モンタナ州下院議員。
気候変動否定主義者。
国有地での鉱山採掘やフラッキング(シェールガスを抽出する水圧破砕法)
を支持する。

_商務省長官: アンドリュー・パズダー
ファストフード・チェーン店(バーガー店ハーディーズその他)
経営者。
何度も残虐な家庭内暴力事件を起こしており、
バーガー店の女性店員に性的虐待を強いてきたことでも有名。
最低賃金一五ドルに反対している。

_保健社会福祉省長官: トム・プライス
ジョージア州下院議員。
下院予算委員会議長であり、ティーパーティ党幹部会員。
オバマケアに反対し、メディケアの私有化を支持。
性教育、避妊薬や堕胎を認めず、米国家族計画連盟(Planned Parenthood)
に対する国の補助金停止を求め、同性愛者の結婚や性的指向に基づく
差別禁止法案に反対している。

_エネルギー省長官: リック・ペリー
元テキサス州知事。
二〇一一年に大統領候補に出馬した際、エネルギー省廃止を主張していた。
ダコタ・パイプラインの理事。
気候変動否定主義者。

_ホワイトハウス法律顧問: ドナルド・マックガン
金権にまみれた選挙制度を確立することに大きな影響を与えた
連邦選挙管理委員会の議長を務め、選挙資金制度の改革を阻止、
企業からの制限なしの選挙献金を認めるシチズンズ・ユナイテッド
の裁定に大きな影響を与えた。
選挙汚職で辞任した共和党議員トム・ディレイの倫理顧問でもあった。

_教育省長官: ベッツィ・デヴォス
公共教育の縮小と私営化を支持し、
科学(特に進化論)教育を否定している。
共和党へ多大な政治献金を行っている。
ブラックウォーター設立者エリック・プリンスの妹。

_環境保護局長官: スコット・プルイット
オクラホマ州の司法長官。
気候変動否定主義者。
化石燃料(石炭産業)企業の利害を守るために、環境保護や
公衆保健の規制削減を目的に環境保護局に対する訴訟を起こした。

_国土安全保障省長官: ジョン・ケリー大佐
海兵隊退役軍人。
元南部軍司令官としてグアンタナモ収容所を管理していた。
ホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラに軍事資金をつぎ込み、
中南米との国境問題についてオバマ大統領と対立した。
国内領土も戦場として考えている。
二〇一〇年に息子がアフガニスタンで戦死。
国土安全保障省の予算は急増しており、スタンディングロックで
先住民を弾圧している武装軍は国境警備員である。

_国務省副長官: ジョン・ボルトン
(内部で反対者が多く、現在、未定)

_国家安全保障顧問: マイケル・フィン大将
ブッシュ政権時代のイラク戦争中に特殊作戦軍司令官スタンリー・
マククリスタル大将の下で諜報高官を務めた。
虐待や拷問で得た情報を元に民家への押し入り襲撃や先制攻撃など
の作戦を展開し、イラク戦争での民間人殺害をエスカレートさせた。
その後、アフガニスタン戦争で同様の戦略を展開してきた。

_住宅・都市開発省長官: ベン・カーソン
引退した脳外科医。
政治の経験ゼロ。
気候変動否定主義者。
子供の頃に公共住宅で暮らしたことがあるという理由で
この地位を提供されたが、実はそのような履歴は嘘だった。

_中小企業局局長: リンダ・マクマホン
プロレス業界の大物。

_大統領首席補佐官: ラインス・プリーブス
共和党全国委員会の会長。
気候変動否定主義者。

_CIA長官: マイク・ポンペオ
気候変動否定主義者。

_大統領首席戦略官・上級顧問: スティーブン・バノン
元GS社勤務。
ネオナチの扇動を行う「ブライトバート・ニュース・ネットワーク」
の会長、トランプ選挙参謀。
白人至上主義者、人種差別、女性蔑視で知られる。
気候変動否定主義者。

_国家経済会議ディレクター: ゲーリー・コーン
GS社プレジデント&COO。

_イスラエル大使: デビッド・フリードマン
極右の思想を持つ破産法の弁護士。
国際法を無視し、イスラエルとパレスチナの平和共存を否定している。
パレスチナ支持の活動に対する司法省による捜査を求めている。

(「トランプ政権」宮前ゆかり 「世界」2017年2月号 から抜粋)

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