【他人の不幸が飯の種】


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「職業」を意味する英語にはいくつかあるが、vocation という言葉がある。
ラテン語の vocare(呼ぶ)という言葉から派生したもので、
「呼ぶ」のはもちろん神様だから、「召命」とか「天職」
というような訳語もついている。
その vocation の中でも、専門的な訓練を受け、
知識や技能を身につけた者が行うのを profession という。

古くは、profession というのは、三種の職業のみを指していたそうだ。
すなわち、医師、法律家それに宗教家である。
この三つは、今でも、他の「職業」とは違う、別格と考えられている。
どうしてか。
「要求される知識や技術のレベルが高いから」?
違う。
今も昔も、高度な技能を要求される職業は他にも数多い。
「人助けのため」?
それも誤り。
正解は、この三つは「他人の不幸で成り立つ商売だから」である。
医者は病を、法律家はトラブルを、そして宗教家は死を、飯の種にしている。

(「医者と患者のコミュニケーション論」34ー35ページ)

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