「NO」と言えない医療制度改革

月刊 保険診療 2016年1月号 特集 巻頭言
 
TPPと国民皆保険の憂鬱な未来

「社会保険と税の一体改革」なるものに「YES」と言ってしまってからこっち
(官邸と財務省の”土俵”に乗せられてからこっち)、さらにはアメリカ的社会
への変質を至上命題として課される安倍政権になってからこっち、
「保険給付範囲の縮小」「診療報酬減」「患者負担増」「混合診療拡大」
「病床規制」「医業自由化」など、かつて医療界がこぞって強く反対していた
”国民皆保険”縮小政策のオンパレードが次々と実現しつつあります。

しかも、そこでは「規制緩和」と「規制強化」が都合よく使い分けられています。
ある面では規制緩和(国家戦略特区や患者申出療養など)、
別のある面では規制強化(大病院受診制限や地域医療構想など)--。
要するに、理念や主義などないということです。
「公的給付抑制」と「医療の市場化」を実現するためであれば、
理念は問わず、手段も選ばないということなのでしょう。

こうして国民的議論もなく、医療界から「NO」という声もあがらないまま、
日本の社会保障制度はあたかも「ゆでガエル」のように、
いつの間にか「熱湯」でゆであがってしまいそうです。

そして、ついにTPPが合意へ動き出しました--。
それは、安倍政権のコントロール下で「NO」という声が抑制されていた
「ゆでガエル」のレベルの話ではありません。
かつてアメリカ軍がベトナムで住民や森林を焼いた
「ナパーム弾」でいきなり焼き払われるようなものです。

TPPが締結されてしまったら最後、国民のいかなる「NO」の声も
他国あるいは多国籍企業によって完全に封殺されることになりかねません
(間違いなくその道を開きます)。
ISDS条項により日本の社会保障制度の諸規則が「非関税障壁」と認定されたら最後、
国会決議や憲法さえも超越した法的措置により、
もはや誰も「NO」と言えないまま、国民皆保険は瓦解することになります。

「NOと言うだけが能じゃない」とばかりに、ものわかりよく相手の”土俵”に乗って、
それが今どのような事態を招いているか--はたして”マワシ”に指の1本でも
かかっているのでしょうか。

「YES」が紡(つむ)ぐ道こそが「地獄」へと続いているのではないでしょうか。

https://dl.dropboxusercontent.com/u/29335360/社会保障とTPP①.PDF

https://dl.dropboxusercontent.com/u/29335360/社会保障とTPP②.PDF

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21世紀の歴史の転換点「TPP」

TPPにより日本社会が受けた多大なる恩恵! より自由な豊かな社会へ!

・財政のお荷物だった 国民皆保険制度からの解放
   自由で高度な医療を実現!
・非関税障壁の撤廃による 輸入自由化・農業の淘汰
   豊かな生活を実現!
・武器輸出の非関税障壁と認定された 憲法9条の廃止
   自由に戦争できる普通の国へ!

「でも先生、それによって日本の国民の多くは、、、」

「黙りなさい!!」

「TPPへの批判も真実も「非関税障壁」として禁止されていますよ!!」

(2038年1月9日 (金) 近未来の歴史の授業にて、、、)

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