TPP 日本農業新聞15年5月28日 コラム

JA長野厚生連佐久総合病院地域ケア科 医師 色平哲郎

環太平洋経済連携協定は、Tトンデモない、Pペテンの、Pプログラム。
だから略してTPPって言うんですよ!
それはまぁ冗談としても、TPPは、国境を越えて利益をあげる巨大企業
が各国の長年培った農業や工業、医療、社会のしくみなどを商売の
的にするための協定です。
 
だから、いくら巨大企業と連携したアメリカや日本の政府がTPPへの参加を推進し
ようとしても、他の国々はなかなかウンと言いません。
巨大企業の本拠は欧米や日本にあって、雇用や市場を奪われることは明らかなのです。
 
TPPは、コメや牛肉、自動車といったモノだけでなく、医療もターゲットにします。
たとえば、病院や診療所で処方される「医薬品」の値段の決め方に巨大製薬企業が口を
はさみ、価格が高騰する恐れがあります。日本では現状、国民が有効で安全な薬を安く
使え
るよう価格をコントロールしています。
その調整のしくみを巨大製薬企業は「市場参入の障壁」ととらえ、廃止するよう求め
てくるでしょう。
あるいは、巨大民間保険会社も日本の医療市場をこじ開けようとしています。
日本は「国民皆保険制
度」で、国民みんなで保険料を負担し、病気やケガをしたら、保険証一枚で「誰でも」
「いつでも」「どこでも」医療機関にかかれます。

この国民皆保険は世界に誇れる「日本の宝」なのですが、保険会社からすれば医
療保険市場への自由参入を阻む壁。
そこで公的医療保険でカバーする保険診療を部分を狭め、「自由診療」の枠を拡げる。
いわゆる「混合診療」を拡大し、自分たちが「自由診療保険」を販売する方向へ持って
いきたい。

そうなれば、富裕層はお値段の高い自由診療保険に加入、なおかつ保険診療も使って十
分な治療を受けられることでしょうが、一般大衆は狭められた保険診療分しか受けられません。
格差が広がるのは目に見えています。
だからTトンデモない、Pペテンの、Pプログラム!

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