島は超領有地域で紛争防止を

歴史学者 南塚信吾(東京都武蔵野市 70)

朝日新聞 「声」 2012年10月22日

このところの竹島、尖閣諸島をめぐる議論を見聞きするにつけ、
私は、千島列島、竹島、尖閣諸島はどの国も領有権を放棄して、
超領有地域とするのがいいのではないかとの考えを強くしている。

これらを漁業や地下資源の計画的活用、環境保護、安全(避難所設置、非軍事化)
のための国際共同管理領域とし、ロシア、中国、韓国、台湾などを巻き込んだ
国際的動きとして国連や東南アジア諸国連合(ASEAN)に働きかけて承認させて
いくのである。
南沙諸島もあっていい。

これは決して「弱腰」で「非愛国的」な態度ではない。
むしろ大きな度量と展望が必要な政策だ。
「愛国主義」の悪循環は断たねばならず、
そのためには見識ある政策が提示されねばならない。

地球上の領域を何らかの国家の排他的な領有地や勢力圏として確定する
ようになったのは19世紀の中ごろ以降、つまり150年ほど前ののことでしかない。
そのころ、お互いの国の人々は平気で出入りしていたのであり、
人類史固有の仕業ではない。

グローバル化の進む今、もっと大きな全人類的な視野から、
地球や宇宙の資源や環境や安全の問題を考えていかねばならないのではないか。

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