協同組合のある風景 佐久総合病院
             
  「2012年は国連が定めた国際協同組合年」 (全6回) 第2回 医療福祉
   朝日新聞  2012年4月28日

JAグループ内で医療・保健・老人福祉事業を担うJA厚生連は、
その病院のおよそ半数が人口5万人未満の市町村にあり、
農山村を支えている。
また、長年「予防は治療に勝る」という理念を掲げ、
がん検診・職場健診などの健康増進活動を積極的に行っている。
この活動の基礎となったのが、長野県にある佐久総合病院だ。

1944年の病院開設当時、南佐久郡32町村のうち13村が
無医地区だった。
故若月俊一・元院長は、質素な食事や過酷な労働で健康を害する
農村の人々を見過ごせないと発起。
まず「出張診療班」を立ち上げた。
医師や看護師のチームが農村をまわって診療活動を行ったのだ。
また、医学知識の乏しい村人に向けて、
医療をテーマにした演劇を上演して啓発活動も実践。
毎年5月に催される「病院祭」は、医師と住民の交流の場となり、
年々来場者は増えていった。

59年には、八千穂村(現佐久穂町)で、全国初の集団健診を
核とした全村健康管理活動をスタートする。
健診結果は、病院が管理する「健康台帳」や村民に配る「健康手帳」
に記録され、予防・生活改善指導が行われた。

七年後、村民1人当たりの医療費は県や国の平均を大きく下回っていた。
この成果が注目されて集団健診は県全域に拡大。
さらに国レベルでも40歳以上の国民に健康手帳が配られ、
健診が実施されることになった。
ひとつの病院の活動が全国の保健事業のモデルとなったのだ。

現在、佐久総合病院がめざしているのは、長年携わってきた地域医療
と高度専門医療を両立させる取り組みだ。
救命医療用ドクターヘリの運用に着手するとともに、
佐久医療センター(2013年開院予定)と佐久総合病院本院に
病院の機能を再編する計画を推進し、医療体制の強化を構想している。

地域医療部地域ケア科の色平(いろひら)哲郎医長は、
次のように語ってる。

「佐久総合病院の医師たちは、自分の医療技術を『金儲(かねもう)け』
や『自分の栄達』のために使うのではなく、自ら『農民に使われる』
という立場に身を置きました。
若月先生のような医師たちがいなかったら、
日本の農村や漁村での医療は成り立たなかったでしょう」


(広告特集 企画・制作 朝日新聞広告局)  

【2012国際協同組合年 全国実行委員会幹事団体】
 http://www.iyc2012japan.coop/

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