第7回ヘルシー・ソサエティ賞・受賞スピーチ

(2011年3月2日@帝国ホテル)

ご紹介いただき、ありがとうございます

私の病院は、「協同組合」が運営しています

農民が、自ら出資して病院を建てた、ということは、
「農民が医師を雇っている」ということです

若月俊一院長の「予防は治療に勝る」という実践でも有名です

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家族5人で10年間暮らした南相木村に、国道も鉄道もありません

村民のうち65歳以上が、なんと40%

そして今、日本の農山村につづき、日本の「都市の高齢化」が進行中です

ケアのあり方、ひとりぐらしの激増、住まいや交通手段、
街づくりなど、問題が噴出します

このような事態、多文化共生を目指すグローバル社会で、歴史上初めて

しかも最大速度、最大規模での高齢化となって、世界の注目の的です

図らずも、「地球人類の近未来」を垣間見る、そんな村での生活となりました

お隣の韓国・台湾を加え、「大東亜共栄圏」ならぬ「大東亜共”老”圏」、
という笑えないお話もございます

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ここで、詩を読みます

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ

ぶよぶよのからだにたくさんきこみ
意欲もなく体力もなくいつもブツブツ不満を言っている

毎日塾に追われ、テレビに吸い付いて遊ばず、朝からあくびをし
集会があれば貧血をおこし、あらゆることを自分のためだけ考えて

あれっ、私のことになってしまった、、、

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村で働いて、周囲の方々が「心持ち」である、一方、
都会育ちの自分が、心貧しい人間だ、と感じました

「おたがいさま、おかげさまで」あるいはまた、「金持ちより、心持ち」
「すきなひとと、すきなところで、くらしつづけたい」

おだやかな山村に、毎年、百数十人の医学生・看護学生が実習に来ました

村人もまた、孫のような若者たちに、よろこんで、「おしん」の時代の
苦労ばなし、「雨ニモマケズ」の体験を語っていました

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最後に申し上げます

日本の宝、「国民皆保険」は、今年、誕生50年の節目

選挙では、全政党が、「皆保険堅持」を訴えています

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財政赤字、国保の未納・滞納、そして「無保険者」の増加

そんな内なる危機に加え、外からは、「経済連携協定」や
医療ツーリズムなど「市場原理主義」の圧力

内外2つの大波で、皆保険が崩壊の危機に瀕していること、とても心配です

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一部の人々の「ぬけがけ」が貴重な制度資本を崩壊させます

世界の人々があこがれるジャパン・ブランド「皆保険」、ぜひ、持続可能な
制度設計につき、 皆さま、よろしくご高配くださいますよう

南相木村のみなさま、角道さま、そして厚生連・佐久病院の仲間たち、
ありがとうございました

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