「地域経済守れ」TPP反対デモ 中川 村長先頭に村一丸

朝日新聞 長野県版 2011年2月21日

環太平洋経済連携協定=(TPP)の参加に反対するデモ行進が中川村で20日あった
=写真。
中山間地の村にとってTPPへの参加は、主要産業である農業の疲弊と地域社会の
崩壊をもたらすとの懸念から、曽我逸郎村長が先頭に立ち、
村内の主要団体が相乗りする異例の形となった。

JA中川支所をはじめ、農業と直接にはつながらない村商工会や村建設業協会など、
立場を超えた9団体が結集。
予想の倍以上の380人が、村役場からの2.4キロを約1時間かけて歩いた。
「地域経済を守れ」「日本の食と緑を守れ」とシュプレヒコールするだびに
鳴り物が響いた。

中川村は人口5200人、4割近い世帯が何らかの形で農林業に携わる。
果樹園芸や稲作に加え、二つのアルプスに挟まれた景観を売り込む。

「外部資本に頼らず、農業を核に元々持っている力を大切にする内発的発展
をめざしてきた。
企業を誘致しても成果は上がらない」と曽我村長。
TPPの大波は、「農業だけでなく、中山間地なので限界集落に陥る恐れがある」
と村長は受けとめる。

「何かせにゃいかん」「どうせなら目立つことを」の声が村内で高まり、
今月中旬に実行委員会が発足。
村長を代表に9団体が集い、「村を挙げての意思表示」になった。

この行動について曽我村長は藤原忠彦・全国町村会会長(川上村長)に相談した。
全国町村会は昨年12月の全国町村長大会でTPP反対を特別議決している。
高原野菜の大産地を抱える藤原村長は、曽我村長の行動を「勇気ある決断」
とたたえる。
首長が、対立しがちな輸出産業に気を配れば、TPP反対の声は上げにくいからだ。

藤原村長は朝日新聞の取材にこう語る。
「日本の農地は狭く、コスト争いで太刀打ちできない。
生命産業の農業を守れず、2次、3次の産業だけをどうして守ることができようか」
(田中洋一)

=環太平洋経済連携協定=
例外なき関税撤廃をめざす枠組みの通商交渉。
米・豪など環太平洋9カ国が参加し、菅直人首相は1月の施政方針演説で
「6月を目途に交渉参加について結論を出す」と述べた。
参加すれば、自動車の輸出が有利になる半面(ママ)、安い農産物で国内農業が
大打撃を受ける恐れがあり、JAグループは反対を決議している。

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