書評 「医療のこと、もっと知ってほしい」

信濃毎日新聞 09年11月22日 書評


医療のこと、もっと知ってほしい 山岡淳一郎 著

医師不足、病院の経営難、、、。医療現場がさまざまな困難に
直面するなか、各地で日々奮闘を続ける医療者がいる。

著者がルポ現場に選んだのは、佐久市の県厚生連佐久総合病院。

ドクターヘリを擁する救急救命医療と、自宅で療養する患者を支える
在宅医療に携わる医師、看護師の取り組みをつぶさに追った。

ほとんど寝たきりの夫を認知症の妻が介護するお年寄り夫婦の家、
がん末期で病院から家に戻ったおばあさん、、、。

訪問診療に出た北澤彰浩医師は、同行した看護実習生に
「在宅ケアの目的って、何だろう」と問いかけ、
「僕は、最後まで、その人らしく生きてもらうために、
生活を支えようと思ってる。
病名が先にくる患者としてではなく」と話す。

将来、医療者を志す人の道しるべとして書かれた本だが、
誰にとっても無縁でない医療のあり方を考える手がかりにもなる一冊だ。
(岩波ジュニア新書、819円)
 山岡淳一郎 著


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