「命に値段がつく日」書評2つ


05年8月21日 「朝日」書評

命に値段がつく日 所得格差医療

活躍中のジャーナリストが、みずからの手術体験から関心を
深めた変革期の医療システムを分析し、問題提起する。

戦後築かれた医療の仕組みが社会構造の変化によって、破局に直面。
解決策として混合診療、病院の株式会社化などの「市場原理」が導入されようとしている。
それは所得格差により「命に値段がつく日」への第一歩ではないか、と。

答えるのは、老人医療費が全国一低いのに平均寿命など
高い健康指標を保つ長野県で地域医療を実践している医師だ。
その成果は、医療を人と人との膨大な接点の集積として進めてきた
先人たちの努力の結実であることが明らかにされる。

医療の外と内からの正反対からのアプローチが、管理や市場化でなく、
「人間が人間として人間のお世話をする」という「医療の原点」
による仕組みづくり、医師づくりが必要だという一点で合流する。
コンパクトに医療の問題点を整理し、指針を示した一書だ。

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05年8月21日 共同配信

新書  自然科学 

・・・医師の偏在も、日本の医療の問題点の一つ。
色平哲郎、山岡淳一郎著「命に値段がつく日 所得格差医療」は、
長野県にある「過疎の村の診療所」の所長とノンフィクション作家の
「ディスカッションをもとにした書き下ろし」である。

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