被災者の健康と住環境



色平(いろひら・フリガナ)哲郎 佐久総合病院内科医

私の故郷新潟県では、いまだ余震が続いている。
隣県信州の皆さまの温かいご支援に心から感謝申し上げたい。

一般論として震災後2週間は、避難所で心筋梗塞、脳梗塞などが増え、
その後は尿路感染症や肺炎が多くなると予想される。
対策としては、水分を多くとる、マスクの配布、夜間十分な睡眠をとる、
インフルエンザの予防接種などがあげられる。

今後、継続的に被災者を支えていくには、医療態勢とともに住環境の整備が急務だ。
ふだん「医」と「住」は、厚労省と国交省の垣根に隔てられ、連携がとれているとは言い難い。
しかし、災害時には「人を守る」観点から両者の距離をグッと縮めなければならない。




建築基準法第一条は「国民の生命、健康及び財産の保護を図り、
もって公共の福祉に資する」と記す。
今こそ、立法趣旨の発露を。
具体的には「いかに暖をとるか」だ。

これから被災地は急激に寒くなる。
暖房器具を配布中との報道だが、
同時に部屋の熱を外に逃がさない「断熱」の工夫も望みたい。
ビニールハウスの避難施設が、昼暖かくても夜、
外気並に冷えきってしまうのは断熱がゼロだからだ。

超党派の国会議員からなる「環境・省エネ外断熱工法推進議員連盟」は、
政府に仮設住宅や避難所の断熱補強・外断熱改修を提言したという。
建物をグラスウールや発泡系断熱材でスッポリ覆う外断熱工法こそ、
寒冷地信州でも平時から検討に値するテーマではないか。

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