避難所生活での健康管理のコツ(転載歓迎)


新潟県中越地方で大地震が発生しました。 

報道によると10月28日時点で、死者35人。
10万人近い人たちが避難生活を強いられているとのこと。


震災と言えば、阪神淡路大震災の医療ボランティアに参加したことがあります。

95年1月に発生した阪神淡路大震災の「一撃」が去って、一応の落ち着きを取り戻しつつあった3月半ばのことでした。

5日間、神戸市長田区を中心に現地入りし、
「一撃後」の人びとの生活の変化、その間の心理面の経過を丹念に観察しました。

この時の経験をふまえ、避難所生活での健康管理のコツをお伝えしてみたいと思います。


だれか知人で避難所生活を送っている人がいたら、以下を教えてあげてくださいますよう。

簡単な注意で「自衛」となるのではないでしょうか。

いろひら拝

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一般論として、震災後2週間(余震の間)は
心血管イベント(特に夜間発症の心筋梗塞、脳梗塞など)が増加します。

その後は、尿路感染症、そして肺炎が多くなっていきます。


対策としては、避難所の環境整備が必須です。

1)水分を多くとれるようにする、2)マスクを配布する、そして何より、
3)夜間十分な睡眠・休息がとれるように配慮する、これが重要です。

長期間余震が続くと、心身の緊張状態も続くわけで、脳や血管などへの負荷が蓄積していきます。

血液の流れを良くするために、十分な水分の補給が必要です。

中長期的には、内服薬の中断によって、特に高血圧と糖尿病の患者さんで
血圧と血糖のコントロールが乱れてきます。

そして特にインスリンやワーファリンなどを使用中の患者さんは、薬が切れると体調が悪化します。


可能であれば、40歳以上の方では避難所で毎朝、早朝時の血圧を測定したら良いのです。

記載しておけば、医療スタッフが不足していても出来る健康管理法です。

日が昇った早朝時に毎朝血圧を測ることで、正確な体調把握だけでなく、
周囲の人と挨拶をかわし、一日の生活にリズムを作り出す効果もあります。

予め対処可能な、現場で有効なやり方です。


また、多くの人が出入りする体育館などでは、どうしても空気中の雑菌が多くなり、
のどや肺への負担も大きいのです。

自衛策として、単純ですが、手洗い、うがいの慣行をお勧めします。

行政が全員にマスクを配布すれば、予防効果も増します。


避難所ではお風呂に入れないから、体に汚れがたまりやすいでしょう。

自宅ではないから、特にお年寄りはオシッコを面倒がるかもしれません。

そのために、「トイレに行かずにすめばいい」と考え、水分を摂らない、、、これは、危険です。

上で述べたように、血液の流れを良くするために、十分な水分の補給が必要です。



10月も末ですから、各自の県民健康手帳なりを作って、
避難所それぞれで重複のないように気配りをしながら、
インフルエンザの予防接種の手配をすることも必要でしょう。

ワクチンの有効性は時代とともに変ってきています。

「数年前から」新型の予防接種が普及し、副作用が
ほとんど出なくなり、高齢者の冬季の死亡率を大きく引き下げています。

10月も末になっています、インフルエンザの予防接種は、
「今」はじめないと流行シーズンに間に合いません。

「悪夢」になりかねないのは、ある避難所では全員接種して
冬のインフルエンザ流行を免れ(或いは最小化でき)、ほかの避難所ではまったくせずにいて、大流行してお年寄りが肺炎で何人もなくなる、という近未来です。

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