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--朝日新聞 JICAが初の国内研修

 

地域医療の実績、途上国で活用を JICAが初の国内研修 /長野

       1999年02月12日 朝刊  ページ 長野      写   832字

 

 住民主体の地域保健・医療活動「プライマリ・ヘルス・ケア」の専門家を養成して途

上国に派遣しようと、国際協力事業団(JICA)が十一日まで、佐久地域で初の国内

研修を実施した。この分野で途上国に先行している日本の実績をそのまま生かせるわけ

ではないが、「足元の歴史や現状を知らずに途上国でいい仕事はできない」との考えか

ら、半世紀にわたる農村医学の実績がある佐久が研修の場に選ばれた。

 研修は九日から始まり、初日は無医村で妊娠中絶や子どもの病気に悩む女性のために

若妻会を作り、婚前学級にもかかわった南牧村の保健婦菊池智子さん(五四)の体験を

聞いた。参加者は海外での活動を希望する医者や薬剤師、臨床検査技師ら七人で大半が

三十歳代。保健婦の柴田貴子さん(三〇)は「若い保健婦が性の問題を掲げて地域に入

って抵抗はなかったのかどうか関心を持ちました」と語る。

 十日は「レタス王国」として知られる川上村の藤原忠彦村長が、農村に文化を根付か

せることの大切さを軸に話した。南相木村診療所長の色平哲郎医師は、地域とともに生

きる姿勢を貫いてきた臼田町の佐久総合病院の実践を報告した。

 日本は一九七三年以来、アジアやアフリカを中心に二十一カ国に公衆衛生や母子保健

などプライマリ・ヘルス・ケア分野の専門家を派遣してきた。途上国ではこの分野の需

要が年々高まっており、研修を企画したJICAの山形洋一・専門員は「日本の保健や

医療の足跡には、途上国で役立つものがあるはずだ。それを学びとってほしい」と狙い

を語る。

 参加者は今月下旬から、フィリピン大学保健学部での研修に入る。同大でプライマリ

・ヘルス・ケアを学び、今回の研修で講義もするスマナ・バルアさん(四三)=東大国

際保健計画学教室=は「この分野の専門家は人材育成が大切な仕事。志が伴えば必ず役

に立てる」と話している。

 【写真説明】

 「無医村の保健婦は何でも屋だった」。地域医療の話に聴き入るプライマリ・ヘルス

・ケア研修の参加者たち=9日、川上村で

 

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