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      デフレ・スパイラル

 

                行き着く先は農山村に活気?

 

 

デフレ・スパイラルという言葉が新聞紙上に出ている。

 

デフレとは、単純化すれば、物価が下がることだ。

庶民にとってはうれしい。

さらに「スパイラル」であるから、物価がどんどん下がる、との意味だろうか。

消費者としては、ますますうれしい。

 

 

しかし、喜んでばかりもいられない。

生産者にとっては、せっかく作ったものが売れないことになる。

世の中には、生産だけしている人はいないし、消費だけしている人もいない。

誰もが、自分の生業(なりわい)においても、

どんなに価格を下げてもお客が来ず「商売上がったり」になってしまう……、

と考えれば、なかなか困難な状況だろう。

お金が回らないので、首が回らない状態になっているのだ。

 

「生費者」とは、未来学者アルビン・トフラーのつくった造語で、

生産者と消費者をあわせた言葉だ。

我々はみんな生費者なのだから、

実はデフレとは、恐れおののき慌てる状況なのではないか。

つまり、デフレ・スパイラルとは

「経済恐慌」と呼ばれる事態を指しているのではないか……。

なんだか不安になってきた。

 

 

デフレの反対言葉はインフレだ。

通貨の供給量が増えることで、物価が上がる。

これも大変に困る事態になる。

 

人類史上最大のインフレはドイツで起こった。

一兆倍のインフレとは、普通の常識から見て、想像力の外(そと)にある。

 

1913年、一米ドルは4、2ドイツ・マルクであった。

18年に第一次世界大戦が終わる。

敗戦国ドイツでは、21年には一ドルが184マルクになっていた。

 

22年末には一ドルは7350マルクへ、そして

23年11月には一ドルは4兆2千億マルクまでになった。

日々の「賃金引き上げ交渉」が本来の仕事より優先され、

一日に二度の賃金が支払われた……。

一時間以内にお金を使わないと、価値が半減するありさまであったという。

 

 

当時のドイツは、外国から輸入ができなくなっただろう。

輸入品の価格はドル立てでは同じだが、

マルク立てでは一兆倍になってしまったのだから。

その一方で、ドイツに住んでいたアメリカ人にとっては、

ずいぶんとすばらしい経済状態だったのではないか?

一ドルの価値は労せずして、一億倍どころか一兆倍になったのだ。

時給660円ではなくて、時給660兆円のアルバイトがあれば、

私もぜひやってみたい。

 

 

このような超インフレ状況下では、

現在の日本の国と地方が抱える借金総額650兆円は、

いとも簡単に、650円になる。

すばらしい……。

もちろん、日本人の個人金融資産総額1300兆円も、

1300円になってしまうが。

 

食料の60パーセント、木材の70パーセント、

鉱物資源やエネルギー資源の80パーセント以上を輸入に頼っている

現在の日本で、海外からの輸入が困難になったら……。

 

 

食べ物を確保するため、みんなが芋を植え、田んぼを作る。

燃料や建材を自前で入手できる林業が再び注目される。

農村や山村に活気が戻り、過疎がなくなる。

ガソリンで動く自動車は救急車だけとなり、大気汚染も緩和され、

馬車とソーラーカーが、ゆったりとしかもスイスイと、静かに走り回る……。

 

そんな世の中になるのだろうか。

 

 

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